けみてつ欧州旅20 3日目 カラブリタの狭軌鉄道

在宅勤務で時間に余裕があるので、今年2月下旬に行った旅を少しずつまとめていきたいと思います。第一弾は、ギリシャ・ペロポネソス半島に残る狭軌鉄道に乗った話。

※ペロポネソス半島狭軌鉄道に関しては以下のページが詳しいです。
【ギリシア】ペロポネソス狭軌鉄道 -91%が廃止された究極の廃線跡 – Geek Travel Inc.

2020年2月20日

1.アテネ→ディアコフト

旅の始まりはアテネ駅から。ギリシャ国鉄の長距離列車は座席指定制であり、事前に予約サイトを覗いた際に満席と表示されていたため、期待せずに窓口へ。

「カラブリタ行きたいんだけど」
窓口氏「今日?2分後に列車あるけどそれでいい?」

買えちゃいました。€25.50

アテネ~カラブリタ切符
アテネ駅で発券したカラブリタまでの切符。列車別になっていて、「アテネ→キアト」「キアト→ディアコフト」「ディアコフト→カラブリタ」の3枚をホチキス止め。

「あと1分だよ!7番線に走って!」と窓口氏が急かすので、ホームまでダッシュ。向かいのホームに停車している列車がそれだと思い、連絡通路の階段を駆け降りたところで、ホームの数字が違うことに気付く。我に返って7番線に向かうと、そこは駅舎目の前のホームであった。あんまり走る意味なかったじゃん……。

アテネ駅7番線
アテネ駅からキアト行き郊外鉄道に乗車。

郊外鉄道(Suburban Railway)はアテネ近郊を走る国鉄の列車で、ピレウス~空港、ピレウス~キアト、アノリオシア~空港、アテネ~ハルキダ、各線毎時1本運行している(2020年4月現在、新型コロナウイルスの影響で大幅減便している模様)。

Athens Suburban Railway – TRAINOSE

今回私が乗車したのは、ピレウスからアテネ、コリントスを経由して、キアトへ向かう路線。かつてはアテネのペロポネソス駅からペロポネソス半島方面へ向かう狭軌鉄道路線網があったそうだが、現在はほぼ全て廃線となっている。このうち一部区間については代替となる標準軌新線を建設しており、2020年時点でキアトまで工事が完了している。郊外鉄道として営業しているこの区間は、全線複線電化の高規格路線。海沿いを走り、景色はよい。

キアト行き車窓
アテネ~キアトの車窓。狭軌鉄道時代の旧線と並行している。
コリントス運河
コリントス駅手前でコリントス運河を渡る(動画から切り出し)。
郊外鉄道の車内
郊外鉄道の車内。コリントスを過ぎると客もまばら。
キアト駅に到着した列車
キアト駅に到着した列車。通過線のある2面2線の駅だが、使用しているのはこの1線のみ。コリントス駅からキアト駅まで片側の線路しか使っておらず、1つの閉塞になっている様子。
パトラ行き代行バス
キアト駅前からパトラ行き代行バスに乗車。

アテネ駅からキアト駅までは1時間20分ほど。ここから先、パトラ方面の鉄道は改軌工事中のため、ここで代行バスに乗り換える必要がある。バス乗り場は駅前だが、他の乗客もみな乗り換えるので、ついて行けばすぐ分かった。
なお、キアト~パトラ間の代行バスは2時間に1本出ているが、このうち1日3本のみ、カラブリタへ行く路線の出発点であるディアコフトを経由する。今回乗車したのはこのうちの1本。キアト駅近くのICから高速道路に入り、線形のよい道をかっ飛ばしていく。って、こんなに良い道路があるんじゃ鉄道勝ち目無くないか。

こうしてアテネから2時間半ほどかけて到着したディアコフトは、コリントス湾に面する小さな町。駅周辺はカラブリタ行きの線路しか無く、元々の狭軌鉄道線路らしきものは見つけられなかった。

ディアコフトの海岸
ディアコフトの海岸。

2.ディアコフト-カラブリタ鉄道

ディアコフト-カラブリタ鉄道は、海沿いの町ディアコフトから山の中にあるカラブリタまで22km、高低差720mを結ぶ鉄道で、最急勾配は17.5%。軌間750mmのナローゲージである。

Diakofto–Kalavryta Railway – Wikipedia

時刻表
ディアコフト駅に掲示されていた時刻表。

平日は3往復、土休日は5往復設定されており、所要時間はおよそ1時間ほどである。運賃は€9.50。列車は3両編成で、中央部にディーゼル機関の収められたスペースがある。座席は1番から138番まで、全138席?

ディアコフト駅
ディアコフト駅に停車中のカラブリタ行き列車。

列車発車時刻は11時30分であったが、時刻を過ぎてから列車が到着、一旦車庫に引き上げた後、10分ほど遅れて発車した。
この列車、予約サイトで満席になっていただけあって、とても混んでいた。どうやら若い団体客が乗車していたよう。割り当てられた座席はドア横の補助座席、あまり写真を撮る余裕が無かったので、車窓は帰りに。

カラブリタ行き車内
カラブリタ行き列車、満席の車内。
カラブリタ駅
カラブリタ駅に到着した列車。

12時40分頃、カラブリタ駅到着。カラブリタは険しい山の奥にある小さな町であり、あまりの険しさ故、第二次世界大戦時にはパルチザンの拠点であるとして、ドイツ軍による住人の虐殺が行われたという。

カラブリタホロコースト博物館
カラブリタホロコースト博物館。

帰りの列車の時間まで3時間弱あったが、この虐殺に関する展示を行っている博物館とレストラン、あとは駅周辺をぶらぶらして時間を潰した。正直なところ、あまり見るものは無い。雨が降った止んだり、という天気であり、駅で雨宿りをした時間も長かったが。

3.帰路

15時頃、駅の旅行センターに職員のお兄さんが来て、切符の発売が始まった。ここでアテネまでの帰りの切符を購入。今度はレシートタイプではなく、地紋の入ったちゃんとした(?)切符。

カラブリタからの切符
カラブリタからアテネまでの切符。
帰り列車の車内
帰り列車の車内、誰も居ない。

帰りは団体客がおらず、車内は空いていた。座席指定は端から順に指定しているようで、全員が最前部の車両に乗っていたため、誰も居ない後ろの車両に移動。出発前に一通り検札した後、同じ車両に乗ってきた車掌氏が誰も居ない座席で横になっているのを眺めつつ、最後部からの眺めを一人占め。以下写真。

車窓1
ラックレール区間、急勾配がはっきりと分かる。
車窓2
途中駅に停車したところ。列車交換ができるようになっているが、平日は1本の列車が行ったり来たり。交換設備を使うのは本数の増える土休日のみ?
谷に沿って走る。崖を掘って線路を敷いた区間であるようで、頭上に岩がせり出してきている。

下りも上りと同じく、所要時間は1時間ほど。16時30分、定刻より10分ほど早くディアコフト駅到着。あれ?なんで早着してんの?

ディアコフトは先程も述べたように、海沿いの小さな町。はっきり言って、カラブリタ以上に何も無い。キアト行き代行バスが来るまで、駅付近に留め置かれている旧型車を見て時間を潰していた。

ディアコフト駅横の蒸気機関車
ディアコフト駅横に蒸気機関車が保存されていた。
保、存……?? ディアコフト駅ホームの先、線路が途切れる手前に留置されていた旧型車。

定刻から10分ほど遅れて代行バス到着、キアトまで乗車。雨上がりのおかげか、道中虹が見えるところもあった。なお、キアト駅から先は工事中と述べたが、路盤が完成しレールが敷かれ、更に信号まで設置されている様子が車窓から確認できた。架線こそ無かったが、郊外鉄道の延伸も近いのかもしれない。

高速道路区間の車窓
帰りに撮影した、高速道路区間の車窓。建設中の新線が見える。

キアト到着後は郊外鉄道に乗り換え、19時過ぎにアテネ駅着。アテネ駅前のホテルに宿泊。日が暮れて車窓も見えないし、特に語ることは無い。1時間に1本の割には人乗ってますね、というくらい。

 

ディアコフト-カラブリタ鉄道編はここまで。

この翌日、アテネからソフィアまでの鉄道旅はこちら

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