こんにちは、けみてつです。欧州旅まとめシリーズ第二弾は、ギリシャ・ブルガリア国境を陸路で越えた話。
前日、ペロポネソス半島・カラブリタの狭軌鉄道に乗った話はこちら。
2020年2月21日
1.アテネ→テッサロニキ
狭軌鉄道に乗った翌日、午前中はアテネ市内を観光(この部分はいずれ記事にします)。昼過ぎにアテネ駅へ戻り、ホテルに預けておいた荷物を回収、駅内に入り列車を待つ。

乗車するのは、アテネ発テッサロニキ行きIC3500列車。金・土・月曜日のみ運行の臨時列車(2020年2月現在)で、途中の停車駅はラリッサ駅のみ、終点のテッサロニキ駅まで4時間強で走破する。編成は、Aクラス(1等車)2両、食堂車1両、Bクラス(2等車)3両を電気機関車が牽引する、7両編成。

発車の15分ほど前に列車が入線、乗車する。事前にギリシャ国鉄予約サイトからAクラス座席を確保しており、印刷しておいた紙が切符になるため、窓口に寄る必要は無い。なお、Aクラス車両には4人コンパートメントと6人コンパートメントの車両があり、私が予約したのは4人コンパートメントの車両。乗客は多く、車内はほぼ埋まっていた。
13時26分にアテネ駅を発車。昼飯をまだ食べていなかったため、食堂車に向かい軽食を購入。パサパサなターキーサンドイッチと砂糖マシマシコーヒー、合わせて€5。食堂車で食べようかとも思ったが、Bクラスの乗客も多く来ており、あまり快適な空間ではなかったため自席へ戻る。


アテネ駅を発って3時間弱でラリッサ駅に到着。アテネ駅はラリッサ駅とも呼ばれているが、この名前の由来になった都市でもある。私の居たコンパートメントは4席全て埋まっていたが、ここラリッサで3人下車し、貸切状態となった。


そしてラリッサ駅から更に1時間半ほど走り、列車はほぼ時刻通りにテッサロニキ駅へ到着した。
2.テッサロニキ

テッサロニキ駅に到着してまずしたことは、翌日の切符の購入である。ギリシャのテッサロニキからブルガリアのソフィアへ行く列車は、早朝に1日1本のみ。逃すとその日はもう鉄道で国境を越えることができないため、切符の確保を優先した。なおテッサロニキ駅は、ホームが高架上にあり地下通路で結ばれている構造上、駅内が暗くなっている。切符売り場はまだ入口近くであり明るいが、あまり治安の良い場所ではなさそう。
時刻表は以下、ギリシャ国鉄サイト及びブルガリア国鉄サイトから確認できる。
International Railway Services – TRAINOSE
Sofia – Thessaloniki – Sofia – BDZ
そして、ここで購入したソフィアまでの切符がこちら↓

手書きである。まじか。そして3枚あるが、どれが何を意味しているのかわからない。切符の代金は一番上の紙に書いてあるとおり、€16.80。窓口の係員氏が台帳を持ってきて、色々書き込みながら発券するため、購入には少し時間がかかった。
切符を購入(列車があることを確認)した後は、ホテルに向かう。荷物を置き、夕飯を探しにホテルを出たところ、すぐ隣にあるレストラン店員と目が合い、手招きされた。ここで夕飯。

めしった後はすぐホテルへ戻り、翌日早朝の列車に乗り遅れないようさっさと寝た。
2020年2月22日
3.国境近くの駅、ストリモナス
先程テッサロニキからソフィアに行く列車は1日1本と述べたが、この表現はあまり正確ではない。ギリシャからの国際列車は現在(2020年2月時点)全て運休しており、ソフィア行きに関しては、国境区間をバスにより代行している。



早朝、ホテルから駅へ向かう。テッサロニキから乗車するのは5時50分発の600A列車アレクサンドル-ポリ行き。車内はほぼ埋まっており混雑していたが、ほとんどの乗客は数駅で降りた。途中で車掌が検札に来た際に「ストリモナスでバスに乗り換えだから降りろ、ストリモナスだ(意訳)」と言われた。列車内には次駅表示といったものはなく、車内放送も肉声で駅名を言うだけで、聞き取りにくい。頼みの綱のGooglemapも、電波が悪く位置が飛びまくる。ひたすら車窓を見て、駅に停車する度に駅名を探し、地図と照らし合わせ現在位置を探った。


地図の感じからしてもうそろそろ到着か、というところで車掌氏が来て、「ストリモナス」と教えてくれた。ありがたい。
8時10分頃、ストリモナス駅に到着。ここで降車したのは私含めて2人だけ。列車のドアを手で押し開け、ステップを降りると、犬が駆け寄ってきた。犬にまとわりつかれてどうしようかと思案していると、駅員に待合室まで誘導された。ここからバスで国境を越え、ブルガリア側の国境駅クラタへ向かうわけであるが、バスの時間まで1時間以上待機である。あまりにも暇すぎたので、駅舎の外で先程の犬を撮ったりして時間を潰していた。
9時30分頃、”Let’s go Kulata!”と言いながら、待合室におっさんが入ってきた。バスが来たらしい。後部のトランクにバックパックを載せ、車内へ。乗客は2人、私と、先程一緒に列車から降りた人のみである。
駅近くから高速道路に乗り10分ほど走ると、国境の検問所に着いた。ここで入国審査官が車内に入ってきて、パスポートのチェックをする。もう1人の乗客はEU市民であったようで、カードを一目見ただけで審査が終わった。一方私はというと、審査官がパスポートのみを回収し、運転手と共に事務所へ行ったため、車内でひたすら待機である。時間かかってるけど大丈夫なんだろうか、と心配していると、運転手がパスポートを持って帰ってきて、車は走り出した。パスポート返却まで少し時間はかかったものの、車内から一歩も出ないまま無事国境を通過できてしまった。コロナでもう少し審査厳しくなってるかと思ったんだけどなぁ……。


4.ブルガリア国鉄 クラタ→ソフィア
検問所から5分ほどでクラタ駅に到着、駅前に降ろされた。駅舎に歩いて行こうとすると、運転手から「列車はあっちだ」と、駅の脇の方を指差される。どうやら駅舎を通らずともホームに入れるようだ。ところが、ホーム上をいくら探しても、時刻表や発車票といった類いのものが一切無い。仕方ないので駅構内に居た係員に聞くと、すぐそこに停まっている列車がソフィア行きとのこと。発車までは時間があるはずだけど、扉が開いているしもう乗れるらしい。



クラタ駅には時刻表が無いし、ネットで見た時刻とストリモナス駅に書いてあった時刻は違っていた。列車がいつ発車するのかも分からないまま待っていると、10時50分、何の前触れも無く動き出した。ブルガリア国鉄のサイトに掲載されていた時刻が正しかったらしい。
検札を受けてしばらくまったり車窓を眺めていると、車掌氏が「両替しないか」と持ちかけてきた。チラシ裏にレートを書いて見せてきたがEUR↔BGNのレートなど知らない。とはいえ見た目がぼったくりでもなさそうなので、財布に入っていた€20札を渡して頼んでみる。チラシ裏に何か書いて計算した上で、財布から紙幣やコインを出し、ひとつひとつブルガリア語で説明しながら€20分のブルガリアレフを渡してくれた。優しいけど何言ってるのか分からない。


ブルガリアの首都ソフィアは盆地にあり、周囲は山に囲まれている。そのため、鉄道は山をいくつも越えていく。あまり飽きの来ない車窓である。

ソフィアに近づくにつれ少しずつ乗客が増えていき、14時半頃、定刻より若干遅れてソフィア中央駅に到着。アテネを発ってから25時間であった。
この後は駅近くに取っておいたホテルにチェックインし、ソフィア観光へ。詳しくはまた別の機会に書きます。きっと。